赤い刻印 - Secret Love -
「ごめんなさいね。あの子、部屋にこもったままで…」

香川のお母さんはおっとりしていて優しそうな人だった。
教育ママだと聞いてたから、かなり怖い感じの人を想像していたのに意外だ。

「ご飯もあまり食べないのよ」
「そうなんですか。やっぱり会えないですか?」
「もし良かったら声掛けてくれない?友達ならあの子も出てくるかも」
「…」

友達とはちょっと違うんだけど… ね。
心の中でそう思いながらも不思議に思われないように平静を装う。

「私たちも困り果ててるの。お願いします」
「はい」


お母さんに家に入れてもらい香川の部屋の前までやって来た。
軽く部屋のドアを叩くけど反応はない。

「香川さん?いる?」
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