赤い刻印 - Secret Love -
私の声に反応したのか部屋の中から小さな物音がした。

「矢沢だけど。開けてくれない?」


…ガチャ
しばらくして少しだけ部屋のドアが開いた。
そしてその隙間から香川が顔を覗かせる。

「何してんのよ?うちにまで来て」
「だって香川が学校来ないから」
「とりあえず入って」

香川は意外と元気そうだった。
初めて入る香川の部屋はシンプルできっちりと片付いている。
目に付くものは勉強に関するものがほとんどでさすが優等生という感じだ。

「殴りにきたの?」

しばらくの沈黙の後、香川がそう呟いた。

「は?そんな物騒なこと言わないでよ」
「クラスで大変なことになってるんでしょ? 矢沢さん」
「…」
< 204 / 238 >

この作品をシェア

pagetop