赤い刻印 - Secret Love -
分かってる。
だけど私にとって一番大事なのは学校でも今の生活でもない。
村田先生とずっと一緒にいたい。

「私、先生と行くよ」
「え?」
「先生に付いてく」

それはもう思いつきに近い発言だった。
だけど口を出た次の瞬間からそれは徐々に覚悟へと変わっていく。

「はぁ!?まさか千葉に?」
「うん」
「本気?」
「…ん」


先生の想いを無にしてしまうかもしれない。
でもね、私は決めたんだ。
先生と生きる道ー。


***


3月の終わり、村田先生は学校を辞めた。

化学室に置いてあった花瓶はそのまま。
でも、もうそこにバラの花はない。


「一沙、マジでSKYのライブ行かないの?」
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