赤い刻印 - Secret Love -
先生が今日千葉に旅立つと聞いて、私は慌てて荷物をまとめた。
おばあちゃんが教えてくれた電車の時刻は夕方4時ちょうど。

「そんなに好きなんだ」
「…うん」

小さく頷くと文幸が呆れたように微笑む。

「俺じゃダメ?」
「え?」
「ずっと好きだったんだよ」

文幸の真剣な眼差し、そしてストレートな言葉にドキッと心臓が鳴る。

「俺じゃダメだなんてことは分かってるよ。でもさ、俺は今までもこれからもずっと一沙の味方だから」
「文幸…」
「そうだ、村ちゃんに伝言」
「え?」
「もしも一沙を泣かせるようなことしたら絶対に許さない。その時は俺が遠慮なく奪いに行くからな!…そう伝えといて」
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