赤い刻印 - Secret Love -
「何?しつこ…」
「つれないな、一沙ちゃん」

私の右腕を掴んだまま、ゆっくりと顔を近づけてくる和也。
キス寸前くらいの距離に驚いて慌てて顔を背ける。

「やめてよ!こんな道のど真ん中で」
「また昔みたいに楽しもうぜ」
「…っ」

その言葉と意味深な笑みに、私の体は魔法をかけられたように固まってしまった。
和也と遊んでた頃の荒れていた自分を思い出したくない。
ましてや好きでもない和也と体を重ねてしまったこと。
今でも後悔している。

「もう離して」

和也の腕を振り払おうとした瞬間、私の体はグイッと反対側に引っ張られた。



「…一沙。待った?」
「!?」


一瞬何が起きたのか分からなかった。

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