赤い刻印 - Secret Love -

聞き慣れた声。
慌ててその声の主のほうを見上げると、そこには自分がよく知っている人物が立っていて。

「むらた、せんせ…？」

私の腕を引っ張った人物、それは村田先生だったのだ。


「あ、あの…」

突然すぎる出来事に私は言葉が出てこない。
どうして村田先生がここにいるの？
どうして私の腕を引っ張ってるの？

それに今 "一沙"って呼び捨てにされた気がする。

「遅いから探しに来たんだよ。ほら行くぞ」
「へっ？」

戸惑う私の腕を強引に引っ張りながら歩き始めた先生。
そしてようやく気づいた。
私を助ける為に、彼氏のフリをして声掛けてくれたんだってこと。
他校の見知らぬヤンキーにナンパされてると思ったんだろうか？