赤い刻印 - Secret Love -
先生は落ちたピンセットを拾いながら溜息混じりにそう言った。

「そういうこと冗談でも言うもんじゃないよ」
「じょ、冗談じゃないもん!」
「そんな挑発しといて俺が本気になったらどうするの?」
「…!」

その言葉と同時に先生が壁に勢いよく右手をついた。
巷で言うところの『壁ドン』というやつだ。

壁と先生の間に挟まれるような格好になった私。
急接近した先生との距離。
先生の長めの前髪がかかるくらいの距離に、私の鼓動は急激に早くなる。

「でかいこと言ったわりには怯えてるんじゃねーか」
「…っ」
「やっぱりまだ17歳だな」

先生はフッと微笑んで私から離れていった。
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