赤い刻印 - Secret Love -
今 先生が切り出す話題なんて "あれ" しかない。
次にくる言葉なんて誰だって予想できる。

「…ごめん」


風で木の葉が揺れるザワッという音。
それに紛れて先生の小さくて擦れた声が聞こえた。
言われることは分かっていた。
だけど聞きたくなかったんだ、謝罪の言葉なんてー。

「そういうのやめようよ」

私は笑顔を作って先生を見上げた。

「謝らなくていいよ。私そんなに繊細な子じゃないもん」
「…」
「別にキスくらい何とも思わないし」
「矢沢…」
「それより安心したよ?先生も普通の男なんだって!」

明るい口調でそう言って先生から背を向けた。
なぜかこれ以上先生の目を見ていられなかった。
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