赤い刻印 - Secret Love -
別にキスくらい、と言えるようなレベルじゃなかった。
あんな濃厚でとろけるようなキスは初めて。
何も考えられなくなるくらい頭がフワフワして、このままどうにかなるんじゃないかと思った。
今思い出すだけでも全身が熱くなる。

「俺は欲の為だけにしたわけじゃない」
「は!?じゃあ何で?」

先生のその言葉に思わず振り返る。
ごめんと謝っておきながら欲の為じゃないって?
そんな言い訳は通用しないよ。
単に欲に負けたと言えば先生も気が楽になるのにさ。

それとも何?
好きだからキスしたとでも言うつもりなの?
…ありえない。

「矢沢、あの日のことは忘れてくれないか?」
「…」
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