赤い刻印 - Secret Love -

先生は何も言わずに準備室のほうへ行ってしまった。

化学室は再び静寂に包まれる。
今日は強風のせいか、部活をする生徒たちの声も聞こえてこない。
ただただ北風の音が響くだけだ。


「矢沢」

しばらくして準備室から戻ってきた先生。
何を言うんだろうとドキドキしていると、先生は無表情のまま1枚のプリントを差し出してきた。

「これは?」
「三者面談のお知らせ。矢沢のお母さん、夕方は都合悪いって言うから時間変更しといた。一番最初で大丈夫?」
「多分。うちのお母さん夜仕事だからなぁ。お手数おかけしました!」

ただの業務連絡。
少しでもドキドキした自分がバカだった。
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