赤い刻印 - Secret Love -
「うーん?まあ今は結構自由にやってるし楽しそうだよ」

母親のことは嫌いじゃない。
だけど、私たち親子の間にはいつも何となく距離がある。
昔、父親のDVを見て見ぬふりをした母親。
今も彼氏中心の生活で、私のことはお金だけ渡して放置という感じ。
まあ、私ももう親に甘えたいような年頃ではなんだけど…。


「とりあえず面談の件、お母さんに伝えといて」
「…うん」

小さく頷いてからハッとした。
このタイミングで三者面談ってものすごく気まずくない…!?


***


「…ーで、一沙さんの普段の様子ですけど」


私の心配をよそに三者面談は淡々と進んでいく。
恐らく動揺しているのは私だけだろう。
ちらっと先生の表情を見たけど、彼は表情一つ変えずにうちの母親と会話をしている。
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