赤い刻印 - Secret Love -
私は自分の目を疑った。
そのデジカメの液晶画面には私と先生のキスシーンが写っていたんだから。
正確に言うとキス寸前くらい。

「何でこんなの…」
「あそこから丸見えだし」

香川が指出した方向には別館への渡り廊下があった。
確かにあそこの窓からなら少しだけ化学室が見えるはず。
とはいえ、ほとんど生徒が通らないような場所だ。
あそこから私と先生の姿を撮るなんて、始めから狙っていたとしか思えない。

「あの日、先生に聞きたいことがあって化学室に来たら先客の矢沢さんがいたの。鍵なんか閉めたら誰だって気になるでしょ?」
「だからって何でこんなの撮るのよ!?」
< 74 / 238 >

この作品をシェア

pagetop