赤い刻印 - Secret Love -
「うん。じゃあ後でね」

香川が教室を出て行ったのと同時に、麻美が私の腕を強く引っ張った。

「ちょっと!一沙どういうこ…」
「何でもないよ。2人でやれば早いし」
「だからって何で一沙が?」
「まあ香川にはちょっと借り作っちゃったから。恩返し、みたいな?」
「はあ~?」
「ほらほら!授業始まるよ」

借りを作ったんじゃなくて弱みを握られたんだけどね。
…そんなことは口が裂けても言えない。

私と先生の秘密を握った香川。
今の私は彼女に逆らえない。



「これで終わり?」
「うん。それ貼ったら終了」

放課後の教室。
私は香川に頼まれた通り、教室の掲示物の貼り替えを手伝っていた。

「香川って先生に信用されてんだね。こういうの頼まれるんだもん」
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