赤い刻印 - Secret Love -
ふいにあの日の光景が蘇ってきて私の顔に一気に熱が集まる。
なぜかあの日の先生の表情、吐息、唇の感触が頭から離れないのだ。

「まあ一沙の心配も分からなくもないけど。そこは梨絵が好きだって言ってるんだからいいじゃん」
「でも、教師と生徒だよ」

私はまるで自分に言い聞かせるかのように、ゆっくりとそう呟いた。

「関係ないよ。ね?」
「ん…。分かった!」

私はいつものように作り笑いをした。
笑って従うしかなかった。
あの日の出来事を隠しながら恋のキューピットなんて… 考えただけでもため息が出る。


***


「矢沢さん、この後ヒマ?」

課外授業の帰り道、後ろからふいに呼び止められる。
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