それは無理です
ちかの無表情の眉が少しつり上がる。

……何、この茶番劇は?

『あんた、ふざけんのも大概にしなさいよ?!何?私を懐柔したら、許されるとでも?私を丸め込む作戦はどっちが発端っ?』

どんどん荒くなる私の口調。

もう止められない。

妊娠で情緒不安定なのかもしれないけど、これはそんなんじゃない。

「違います!確かに若には姐さんと仲良くし、尽くすようには言われましたけど、でもっ違うんです!」

『うるさいうるさい!もう関わらないでっ。』

「叶、落ち着け。」

肩を抱こうとするちかに虫酸が走る。

それを払いのけ、歪んだ顔を直せないまま、ちかを睨み付ける。

こんな時でも冷静なこの人。

…若頭としてはよくても、旦那としてはどうなの?

『…落ち着きたいから顔見せないで。それから…若頭の側近に戻りなさい。あなたは私に必要ない。』

とても醜い女。

…だから、私に構わないで。

もうこれ以上はツラいのよ。
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