ただ、逢いたくて―P.S.愛してる―
Piece1
*現在*
あたしには忘れる事の出来ない遠い記憶がある。
いつかパズルのピースように全てを埋める事は出来るのだろうか?
その記憶はあたしと彼の儚い夢物語だったのかもしれないけど――…
あの日の夕焼けが
あの日の彼の言葉が
あの日の彼の姿が
あたしの記憶から消える事はなかった。
人は過去と未来は直視出来ても...
今を見る事は出来ないもの。
あたしもその内の一人にすぎない、
だから過去を見てしまうのだろう。
彼が居た事を帳消しにしてしまわぬように…
だから未来を見てしまうのだろう。
彼がまたあたしの隣に居る事を夢見て…
そしてまた今日も一日が始まる。
「菜月、早くしないと先輩に叱られるよ!」
「今行くー!」
今のあたしが生きる意味を見いだせないのは...
きっと彼が、あたしの隣にいないから―――…
あたしを置いて消えてしまったから、
あたしが彼を手放してしまったから、