ただ、逢いたくて―P.S.愛してる―


そして、どちらからともなく手を繋ぎ歩き出す。

「俺の隣の子さぁ…無愛想で可愛くないんだよね」

「呆れる」

あたしは彼のその一言で手を振りほどこうとした。

「何?菜っちゃん。ヤキモチ~?」

「残念でした。そうじゃなくて、なんで女にばっかり興味があるのかなぁ..?と思って」

ホントにコイツは。
自分がモテるからって…
でもそのモテる男に引っ掛かったのは他でもない、あたしだけど。

「だって男だもん。見る目を養ってるの~♪」

「あっそ」

「でも菜っちゃんが一番だよ?」

「...」

「まぁ、当たり前だけどねっ♪」

結局手は繋いだままだった。
だって寒いから。

嘘。
彼ともう少し一緒にいたかったから。
彼を離したくなかったから。

「ねぇ晴輝。晴輝が浮気したら即別れるから」

「菜っちゃんがいるのに?俺は菜っちゃんの彼氏だよ?」

「嘘つき」

「本当だも~ん」

彼は頬を膨らませた。
あたしはそんな彼を試してしまう。
自分から離れて行くのが怖くて仕方がないから。

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