ただ、逢いたくて―P.S.愛してる―

*現在*



「すみません」

「ったく若い子は」

「すみません」

「もういいわ」

「以後気をつけます」

裏に戻ると柚希に声をかけられた。

「酷く言われたね、菜月」

「柚希~」

「煙草。止めたら?」

「うーん」

止めたいけど、なかなか止められない。

貴方と交わした約束の日から吸い始めた煙草。
いつになったら止められる日が来るのでしょうか?

あたしは今、美容師を目指し研修中。
色々あるけど結構楽しくやっている。
柚希とはこの職場で出会い今はあたしの親友。

「今日はあたしカットの練習してから帰るね」

「分かった」

そしてルームシェア仲間。

「ゴメン、気をつけてね」

「柚希もね」

「ありがと♪」

柚希の笑った顔は、どこか彼に似ている気がする。

口が開くと覗く綺麗に揃った白い歯。
弧を描いたような瞳。

あたしには時々、柚希と晴輝の笑顔が鮮明に重なって見える時がある。
でも彼の笑顔だけは幼いあの日のまま。

「工藤さーん!カラーリング入ります」

「あっ…はーい!」

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