ただ、逢いたくて―P.S.愛してる―

*過去*



秋は過ぎ、季節は粉雪の舞う冬。

「寒ーい」

「俺の手、暖かいでしょ?」

彼はあたしにハニカんだ笑顔を向けた。

「きっと心が冷たいんだねー」

「じゃあ菜っちゃんは心が暖かいの?」

「うーん、多分」

「へぇ」

あたしは彼の手をギュッと握った。

「晴輝」

「何?」

「なんでもなーい♪」

「何それ」

ただ隣にいるだけ。
それだけだけど、あたしには幸せすぎて怖いくらいだった。
そういえば…

「クリスマス楽しみだね!」

「もう、そんな時期かぁ」

「晴輝はどうするの?」

「え?もちろん、菜っちゃんとラブラブする~♪」

「冗談じゃなくてー、欲しい物とかある?」

「冗談じゃないんだけど!菜っちゃんが欲しい♪」

だって、あたしって言われても..

「他は~?」

「愛♪」

「愛~?ワザと言ってるでしょ」

「ワザとだったたら言わないし、言えないだろ?」

「う…」

< 8 / 10 >

この作品をシェア

pagetop