ただ、逢いたくて―P.S.愛してる―
今までおどけていたのに、急に真顔で言う彼の横顔にあたしは負けた。
だからって何もあげない訳にはいかないし...
「ね?菜っちゃん」
「ずるい」
「え?」
「晴輝はずるい」
そうやっていつも笑いかける。
あたしが晴輝の微笑みに勝てないのを知ってて、
「菜っちゃん?」
「…」
「菜月?」
「…馬鹿、好きだ」
「え?..うん。俺も」
自分でも可愛くないと思う。
それでも意地を張ってしまうのは、ささやかな彼への反抗。
「じゃあね」
時間は儚くとも無情に過ぎる。
彼はニコッと笑い、手を振りながら去って行った。
そして次の日。
あたしは梓と一緒にクリスマスプレゼントを買いに出かけた。
「何がいいかな?」
「うーん、手袋とか?」
「晴輝は手袋なくても平気だと思う」
「んー、菜月が選んだやつならなんでもいいんじゃない?」
「なんでもかぁ…マフラーとかは?」
「だったら手編みの方がよくない?」
「そうだよね」