五感のキオク~忘れられないその香り~
5年前―――
社運をかけた大きなプロジェクトの一員に選ばれた。
仕事が面白くてやりがいを感じ始めた頃だった。
なにより同期の男子が数人いる中で私が選ばれたということに優越感を感じ、それと同じぐらいプレッシャーも感じていた。
彼とはそこで知り合った。
最初は仕事に対する彼の真摯な態度に好感を持った。
仕事の間は私情は挟みたくない。それに私の頭の中はプロジェクトの事でいっぱいだった。
そしてプロジェクトの準備はすべて終了し、彼と一緒に仕事をするのも今日で終わり。
仕事を成し遂げ、明日からはかかわりのなくなる彼を思い切って誘ってみた。
「良かったらこれから打ち上げしませんか?」
「……二人で?」
そう聞いた瞬間、彼の瞳は戸惑いを見せた。
もしかして軽く引かれてる?
けど、今日を逃せばチャンスは二度とない。
「何も予定がなかったら、ですけど」
私はそう付け加えて、彼に逃げ道も作ったつもりだ。
嫌なら用事があると言えばいい。
そうでないのなら……
「予定なんてないですよ、行きましょうか」
彼のその回答にほっとしつつも余裕な表情で微笑んで見せた。
「荷物を持ってきます」
「では、下でお待ちしています」
彼は微笑んで会釈し、エレベーターに向かった。
社運をかけた大きなプロジェクトの一員に選ばれた。
仕事が面白くてやりがいを感じ始めた頃だった。
なにより同期の男子が数人いる中で私が選ばれたということに優越感を感じ、それと同じぐらいプレッシャーも感じていた。
彼とはそこで知り合った。
最初は仕事に対する彼の真摯な態度に好感を持った。
仕事の間は私情は挟みたくない。それに私の頭の中はプロジェクトの事でいっぱいだった。
そしてプロジェクトの準備はすべて終了し、彼と一緒に仕事をするのも今日で終わり。
仕事を成し遂げ、明日からはかかわりのなくなる彼を思い切って誘ってみた。
「良かったらこれから打ち上げしませんか?」
「……二人で?」
そう聞いた瞬間、彼の瞳は戸惑いを見せた。
もしかして軽く引かれてる?
けど、今日を逃せばチャンスは二度とない。
「何も予定がなかったら、ですけど」
私はそう付け加えて、彼に逃げ道も作ったつもりだ。
嫌なら用事があると言えばいい。
そうでないのなら……
「予定なんてないですよ、行きましょうか」
彼のその回答にほっとしつつも余裕な表情で微笑んで見せた。
「荷物を持ってきます」
「では、下でお待ちしています」
彼は微笑んで会釈し、エレベーターに向かった。