五感のキオク~忘れられないその香り~


「最後、なんですか?」


もう一度、彼が聞く。

口付けを何度も落としながら…



彼に会いたいのか

この香りに包まれたいのかわからない。


ただ彼の温もりは嫌じゃない。


だけど。

最後だと言ったらここまで、なんだろうか?



彼の素肌から匂い立つ香りを知らないまま

ここで終わりなんだろうか?


「それは、あなた次第?」


挑戦的に彼を見つめて言い放つ。

まるで貴方の力量次第よと言わんばかりに。


そう言った私をまっすぐ正面から捉え、彼は八重歯は見せずにニヤリと笑ってから


「俺、チャンスは逃さない主義なんだよね」

「ええ、そうだと思いました」



だからたっぷりと貴方の匂いを感じさせて……
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