五感のキオク~記憶の中のアナタの声~
聴覚の記憶

懐かしい 記憶の中の貴方の声

ラジオから聞こえるその声はあの人の声に似ていた。


その人ではない。

ただすごく似ている、のだ。


『今日のゲストは……


たぶん今人気のアーティスト。

曲がかかれば、聞いたことがあると思うぐらいメジャーな人。


パーソナリティが彼の紹介をし、彼がそれに相槌を打つ。

曲のイメージとは違い、時折笑いを入れつつ質問に答える彼。


―――ダメ、似てるなんてモノじゃない


まるで彼そのもの。





胸の奥がシクシクと痛み出す。

彼じゃない。

ただ声が似てるだけの人。


わかってるのに

それなのに
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