五感のキオク～記憶の中のアナタの声～

結局そのまま波に乗れなれずに定時が来てしまい、ノー残業デーとかいう忌々しい曜日のおかげで会社から追い出された。

週の真ん中にこんなの設けて、本当に効率上がるのか。

疑問を残しつつ駅に向かう。


そういえば平日のこの時間、なかなかお店を見る機会がない。

気分転換に服でも見て帰ろうか。

家とは逆の電車に乗ると。いつもとは違う風景が見えた。

当たり前の事なのに、そんな事にも気が付かないほど日常は慢性的で無味乾燥だ。


５年前の私は毎日が楽しかった。

充実していたかと聞かれるとそうとは限ったものではない。

隣にいる学生らしき女の子たちのおしゃべりが聞こえてくる。

どうやらこれから合コンに行くらしい。

きっと５年前の私はこの子たちと一緒だった。