君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
夕方になると、携帯にオーディション結果の連絡が入った。

それは憧れのダンスチームのオーディションで、多分無理だろうと思いながらダメ元で申し込んでいたのだけど、聞いてみると二次審査の連絡だった。


「どうしよう! 一次に通った!!」


一次審査に通っただけでも私には奇跡的なので、その結果は震えるほど嬉しい。


二次審査に向けてそわそわと準備していると、予定通り九時に澪音が帰ってきた。



「クリスマスの朝に目が覚めるとプレゼントが置いてあるなんて、子供の頃以来だよ。

マフラー、ありがとう」


澪音は寒くもない室内までマフラーをつけたままで、そう言った。


澪音に似合うデザインを探して男性の店員さんにいろんなマフラーを巻いてもらって選んだデザインだけど、澪音が身に付けると想像したよりずっと素敵に見える。


「使ってくれて嬉しいです。でも澪音が普段身に付けてるものに比べると安物だと思うので、無理して使わないで……」


そこまで言いかけた私を抱き寄せて、「気に入ってるんだから、取り上げるな」と無邪気に笑う。


澪音の頬に触れると、外の気温のせいか冷たかった。


「外は凄く寒いですよね。今お茶淹れますから。紅茶で良いですか?」


部屋に備えられているティーセットに手を伸ばすと、そっと澪音に止められた。


「紅茶なら俺が淹れるよ」
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