君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
「ちょっと待ってください。それはどういう意味ですか?」


私が澪音の負担を増やしてるって、今も何か澪音に迷惑をかけているのだろうか。


「あのパーティーであなたが受けた仕打ちを話したら、澪音は大層気に病んでたわ。あなた、あの時のこと澪音に黙っていたのね」


「それは……余計な心配をかけたくなかったし……」


「澪音に心配されたくないなら、強くなりなさい。あなたに他の女の嫉妬を黙らせる強さが無いと、多分あの子はそのうち心労で死ぬわ」


「何それ、どういうことですか!?

……って、やっぱり澪音には他にも彼女とかいるんですよね……?」


「知りたい? あなたに他の女を蹴散らす覚悟があるかしら?」


かぐやがさんが問いかける。私はその目を真っ直ぐに見れなかった。


「……いえ……


私には無理です。だいたい私は澪音とはもう……」



「この、負け犬」



いきなり刺のように飛んできた言葉にびっくりして顔を上げると、かぐやさんが挑発的な瞳で私を見下ろしていた。


口元は私を嘲笑うようにつり上がっている。そんな表情をしていても、大きな瞳は宝石のように美しくて長い睫毛が縁取る陰影に見惚れてしまった。



「あなた、売れないまま日の目を見ることもなく終わりそうなダンサーなんですって?」


「うわ、その言い方!

……否定はできませんけど、もうちょっとオブラートに包んでくださいよ。

もう、それ言ってたのって絶対弥太郎さんですよね?」


あまりの言い様に涙目になってくる。
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