君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
「どうして、澪音にそんな酷い仕打ちをするんですか!?お父さんなんでしょう?息子の幸せを願ってあげられないの?」


胃が燃えるように熱くなって、つい言葉が乱れた。腹が立って視界がチカチカする。この人はどうしてこんなに身勝手なことを言えるんだろう。


「これは教育だよ。

……しかし、あなたが去るならその必要もない。私としてもできれば使いたくはない手段だ」


その人は試すような目で私を覗き込んでいた。


「これは取り引きだ。明日中に舞姫さんがここを出ていくなら、この写真を世に出すのは止めよう。

あなたの顔も写っているから、あなたの将来のためにも賢明な判断をした方がいい。

しかし、今後も澪音との関係を続けるようなら写真はいつでも公開する。分かるな?」



私は全身が情けないほど震えていた。



そんなことをされたら、澪音は絶対窮地に立たされるに決まってる。毎日、あんなに頑張っているのに……。



澪音、ごめんなさい。お父様に認めて貰えないような私で本当にごめんなさい。




「わかりました。明日出ていきます」


「聡明な舞姫さんで、助かるよ」


その後のことはあまり記憶がない。涙も出なかった。

どうやって戻ってきたのかわからないけど、気がつけば澪音の部屋に帰ってきてソファに座っていた。
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