君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
Stage.12 ブルーノ・マーズ ヴェルサーチ オン ザ フロア
久し振りに帰る、ワンルームの自宅。
「寒っ……忘れてたけど、この部屋あんまりエアコン効かないんだった」
樫月家の立派な邸宅暮らしに慣れてしまったのか、狭くて寒い部屋がとても寂しく感じた。
冷蔵庫には、賞味期限の切れた食べ物ばかり。
「ヤケ食いするにも、食べるものも無かったかー……」
仕方ないのでインスタントコーヒーに砂糖をいっぱい入れて飲んでみるけど、美味しくはない。
結局私はバッグをあけて、澪音に返せなかったネックレスと、携帯プレーヤーを取り出した。
その二つともを身に付けて、澪音のピアノを流す。感情も何も無くして、聴覚だけになってしまえばいいのに。そうすれば、澪音に触れられてるような気分になれるかもしれない。
バッグの底から小さな紙が出てきたので、不思議に思って中を見ると澪音の筆跡だった。
『マフラーありがとう。今夜九時頃帰る。
気が付いたら寝てた、ごめん。柚葉のおかげで良い夢を見た』
クリスマスの日に澪音が残した置き手紙をこっそりしまっておいたんだった。あの時は確かに、胸がつまるほど幸せだったのに。
「澪音、澪音……好きです。大好きです。
忘れっぽい私でも、きっと一生忘れられません」
澪音は「諦めるのが得意」なんて変な自慢をしていたくらいだから、私のことはすぐに忘れてくれるだろう。
せめて、そうであってくれますように。
「寒っ……忘れてたけど、この部屋あんまりエアコン効かないんだった」
樫月家の立派な邸宅暮らしに慣れてしまったのか、狭くて寒い部屋がとても寂しく感じた。
冷蔵庫には、賞味期限の切れた食べ物ばかり。
「ヤケ食いするにも、食べるものも無かったかー……」
仕方ないのでインスタントコーヒーに砂糖をいっぱい入れて飲んでみるけど、美味しくはない。
結局私はバッグをあけて、澪音に返せなかったネックレスと、携帯プレーヤーを取り出した。
その二つともを身に付けて、澪音のピアノを流す。感情も何も無くして、聴覚だけになってしまえばいいのに。そうすれば、澪音に触れられてるような気分になれるかもしれない。
バッグの底から小さな紙が出てきたので、不思議に思って中を見ると澪音の筆跡だった。
『マフラーありがとう。今夜九時頃帰る。
気が付いたら寝てた、ごめん。柚葉のおかげで良い夢を見た』
クリスマスの日に澪音が残した置き手紙をこっそりしまっておいたんだった。あの時は確かに、胸がつまるほど幸せだったのに。
「澪音、澪音……好きです。大好きです。
忘れっぽい私でも、きっと一生忘れられません」
澪音は「諦めるのが得意」なんて変な自慢をしていたくらいだから、私のことはすぐに忘れてくれるだろう。
せめて、そうであってくれますように。