君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
「その時は俺の愛人になってくれる?」
冗談めかして語られて、慌てて首を横に振る。
「絶対無理です。お断りします」
「つれないなぁ」
甘えるようにこちらを見たってダメだ。愛人になんてなってしまったら、澪音から抜け出せなくなってどれだけ苦しむことだろう。
「私を使って花嫁候補を遠ざけたいのはわかりましたが、私じゃ良家の子女にはとても見えないし、それどころか女性らしさの欠片もなくて、信憑性ないですよ。」
私がちゃんとしたお嬢様に見えれば、さっきだって足をかけられることなんか無かったはずだ。
「そんなことはない。知らないかもしれなけど、踊っているときの柚葉は注目の的だったよ」
「あのですね……そんなの澪音の隣にいるからに決まってます」
「俺は他の女とも踊ったからわかるんだけど……ここには男も来てるんだ。奴らの視線を追ってみれば、柚葉はもっと自分に自信が持てるんじゃないか。」
意外な言葉に、周りをきょろきょろと見渡した。背後にいたタキシードを着た男性と目が合って、慌てて視線を外す。
「やっぱり駄目。周りは見ずに俺だけ見てろ。」
背中をそっと抱き締められ、耳元で囁かれる。全身が甘くて苦しくなって、ぎゅっと目を閉じた。
「信憑性……持たせるようなことしていい?
俺と柚葉が恋人同士だっていう」
「……っ!」
抱き締められたまま、左の頬に澪音の頬が合わせられた。夜風にあたっていたからか、合わせられた頬の熱が体に溶けていくようだ。
冗談めかして語られて、慌てて首を横に振る。
「絶対無理です。お断りします」
「つれないなぁ」
甘えるようにこちらを見たってダメだ。愛人になんてなってしまったら、澪音から抜け出せなくなってどれだけ苦しむことだろう。
「私を使って花嫁候補を遠ざけたいのはわかりましたが、私じゃ良家の子女にはとても見えないし、それどころか女性らしさの欠片もなくて、信憑性ないですよ。」
私がちゃんとしたお嬢様に見えれば、さっきだって足をかけられることなんか無かったはずだ。
「そんなことはない。知らないかもしれなけど、踊っているときの柚葉は注目の的だったよ」
「あのですね……そんなの澪音の隣にいるからに決まってます」
「俺は他の女とも踊ったからわかるんだけど……ここには男も来てるんだ。奴らの視線を追ってみれば、柚葉はもっと自分に自信が持てるんじゃないか。」
意外な言葉に、周りをきょろきょろと見渡した。背後にいたタキシードを着た男性と目が合って、慌てて視線を外す。
「やっぱり駄目。周りは見ずに俺だけ見てろ。」
背中をそっと抱き締められ、耳元で囁かれる。全身が甘くて苦しくなって、ぎゅっと目を閉じた。
「信憑性……持たせるようなことしていい?
俺と柚葉が恋人同士だっていう」
「……っ!」
抱き締められたまま、左の頬に澪音の頬が合わせられた。夜風にあたっていたからか、合わせられた頬の熱が体に溶けていくようだ。