君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
「そんなのとっくに終わってますし、どうでもいいんです!怪我はどうなんですか!?」
「見ての通り……ただの切り傷。三針縫っただけ。直前まで演奏してたから多少出血して、鉄分のサプリメントを処方された程度だけど……。
もしかしてずっとここにいたのか?」
クロスカフェの制服を来たままの私を見て、澪音が動揺していた。でも私には彼の怪我が軽く済んだことで安心しきって、他に気を回す余裕は残ってない。
「良かった……。本当に良かったです。
一晩中手術でもしてるのかと思ってたから……!大変な事になったらどうしようって……。
……ぅうっ……良かった……うわーん……」
ひとしきり涙を流した後に、きっと横で安心しているはずの弥太郎さんにも声をかける。
「澪音が何ともなくて……本当に良かったですね」
しかし、弥太郎さんは全く無感動な様子で口を動かす。
「それはしってた」
「え!?」
『澪音から全治一ヶ月もかからないと連絡を受けてたからな』
携帯画面でそう伝えられて、私はまたも弥太郎さんの言葉に脱力した。
「知ってたなら言って下さいよー!
さっきの待合室での会話!!あの感じは絶対に私を騙してましたよね?」
『それは違う。怪我の程度は只の結果だ。
もっと重大な怪我だったとしても、俺の言うことは変わらない。澪音の怪我でお前が責任を感じるのは間違った認識だ』
弥太郎さんには私を労ろうなんて気遣いは何もなくて、でも、だからこそ強い意志が伝わってきた。
「そうですか……」
私と弥太郎さんの会話を聞いていた澪音が、タイミングを待っていたように口を開く。
「兄さん、せっかく来ていただいたところ申し訳ありませんが、柚葉と二人で話をさせてもらえませんか?」
「見ての通り……ただの切り傷。三針縫っただけ。直前まで演奏してたから多少出血して、鉄分のサプリメントを処方された程度だけど……。
もしかしてずっとここにいたのか?」
クロスカフェの制服を来たままの私を見て、澪音が動揺していた。でも私には彼の怪我が軽く済んだことで安心しきって、他に気を回す余裕は残ってない。
「良かった……。本当に良かったです。
一晩中手術でもしてるのかと思ってたから……!大変な事になったらどうしようって……。
……ぅうっ……良かった……うわーん……」
ひとしきり涙を流した後に、きっと横で安心しているはずの弥太郎さんにも声をかける。
「澪音が何ともなくて……本当に良かったですね」
しかし、弥太郎さんは全く無感動な様子で口を動かす。
「それはしってた」
「え!?」
『澪音から全治一ヶ月もかからないと連絡を受けてたからな』
携帯画面でそう伝えられて、私はまたも弥太郎さんの言葉に脱力した。
「知ってたなら言って下さいよー!
さっきの待合室での会話!!あの感じは絶対に私を騙してましたよね?」
『それは違う。怪我の程度は只の結果だ。
もっと重大な怪我だったとしても、俺の言うことは変わらない。澪音の怪我でお前が責任を感じるのは間違った認識だ』
弥太郎さんには私を労ろうなんて気遣いは何もなくて、でも、だからこそ強い意志が伝わってきた。
「そうですか……」
私と弥太郎さんの会話を聞いていた澪音が、タイミングを待っていたように口を開く。
「兄さん、せっかく来ていただいたところ申し訳ありませんが、柚葉と二人で話をさせてもらえませんか?」