君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
さっきかぐや姫が弾いていたのも、確かラヴェルという人の曲だったっけ。澪音がかぐや姫と同じ作曲家の曲を選んだことが、刺のように心を刺す。
『あの二人が仲がいいのはわかったろ。共通の趣味まである。
俺に遠慮さえしなければ、あの二人は上手くいくんだ』
澪音の美しい演奏を聞きながら、弥太郎さんが私に見せる携帯の画面を見た。
確かにそうかもしれない。それでも悔しくて弥太郎さんを上目使いで睨んだ。
『かぐやとお前では、勝負にならない。
澪音に捨てられて泣く前に去れ。舞姫』
さらに容赦ない言葉が降り注ぐ。弥太郎さんは、それを優しい笑顔で見せるのだから酷い人だ。
『お前のような女は、野生にあってこそ輝く。
樫月のような温室では、枯れるだけだ』
今度は、少しだけ私のことを心配してくれるような文章だった。何でそんなことを言うんだろう?
不思議に思って弥太郎さんとじっと目を合わせる。
その時の私は、澪音が演奏中でも鍵盤から目を離せることをすっかり忘れていた。
だから、わたしと弥太郎さんが顔を近付けて話をする様子を悲しげに見つめていたことにも、気がついていなかった。
『あの二人が仲がいいのはわかったろ。共通の趣味まである。
俺に遠慮さえしなければ、あの二人は上手くいくんだ』
澪音の美しい演奏を聞きながら、弥太郎さんが私に見せる携帯の画面を見た。
確かにそうかもしれない。それでも悔しくて弥太郎さんを上目使いで睨んだ。
『かぐやとお前では、勝負にならない。
澪音に捨てられて泣く前に去れ。舞姫』
さらに容赦ない言葉が降り注ぐ。弥太郎さんは、それを優しい笑顔で見せるのだから酷い人だ。
『お前のような女は、野生にあってこそ輝く。
樫月のような温室では、枯れるだけだ』
今度は、少しだけ私のことを心配してくれるような文章だった。何でそんなことを言うんだろう?
不思議に思って弥太郎さんとじっと目を合わせる。
その時の私は、澪音が演奏中でも鍵盤から目を離せることをすっかり忘れていた。
だから、わたしと弥太郎さんが顔を近付けて話をする様子を悲しげに見つめていたことにも、気がついていなかった。