君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
澪音が私のことを好きって言った……。


信じられない。


「でも、最初に契約するとき、澪音は私なら後腐れなさそうだからと言ってましたよね……?」


「柚葉に警戒されたくなかったからな。

結局、俺の方が後腐れなくなくなって……ってややこしいか。


柚葉をパーティーに連れてきたあの夜が全ての始まりだったんだ。下らないと思っていた日常がまるっきり変わって見えた。

でも君を帰した時から心に穴が空いたようで、もうクロスカフェに逃避したところで満たされないと気がついた」


澪音の言葉が体に染み込んでくるようで、胸が熱い。でも、嬉しい気持ちと同じくらい怖い。


こんな幸せを受け入れてしまったら、もう後には引き返せないと分かっているから。


それに、私にはどうしても自信がない。


「ここに来たばかりの頃、澪音が寝ながらかぐやさんのことを呼んでたんです。何度も、何度も。幸せそうに。

だから、澪音はかぐやさんのことか好きなんだと思って……」


ばつの悪そうな表情になった澪音は「子どもの頃の夢でもみてたんじゃないか」と濡れた髪に手をあてた。


「だから身代わりは嫌だ、と?」


「はい……そうです」


私の返事に表情を緩めると、試すような視線で私を見た。


「なあ、気がついてる?

その言葉、俺にはまるでかぐやへの嫉妬に聞こえるんだけど。

俺の自惚れなのかな」
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