直さんと天くん
ジェットコースターの後は、天くんの提案により私の心臓にやさしい乗り物に乗ろうということになった。
ティーカップに乗って、ハンドルを二人で思いっきり回して、カップがぐるぐる高速で回転するのを、げらげら笑いながら楽しんだ。
降りるときには二人とも目が回っていて、転びそうになって、それがまた可笑しくて顔を見合わせて笑った。
「直さ〜ん、次はあれ乗りましょう」
呼ばれて振り向くと、メリーゴーランドを背に立っている天くん。
なんか、これは、絶叫マシンとはまた別の意味でマジかよって感じだな…。
メリーゴーランドって…。
いい年した大人がメリーゴーランドって…。
内心戸惑いながらも、うきうきしながらメリーゴーランドへ向かう天くんの後を追う。
周囲を見渡す限り、小さな子供を連れた家族や、学生の女の子達ばかりだった。
うわぁ…これは、きっついな…。
学生時代なら抵抗なく乗れたんだけど、なにせ来年三十路だからな…。
恥ずかしい…。
周りが見たら、痛いやつ、とか思われそう…。
「直さん直さん!こっち!僕の後ろに乗って!」
天くんの声に振り向くと、白馬に乗って、手招きしている。
白馬…!
馬なら他にもたくさんいるのに、白馬…!
なんとなく馬車よりも馬を選びそうな雰囲気はしてたけど、よりによって白馬か…!
ふと、周囲の女の子達や若いお母さん達が天くんを見て色めき立っていることに気付いた。
頬を染めて、ちらちら見たり、あの人かっこよくない?なんて声があちこちから聞こえてくる。
そりゃそうだ。
天くんは口を開くとエキセントリックなやつだが、ルックスはいいもんな。
ふわっとした飴色の髪に、小さな顔。
アーモンド型の目と、それを縁取る濃い睫毛。
鼻は高いし、唇は血色が良くてふっくらしている。
黙っていてもイケメンだが、笑うとふにゃっとしてかわいい。
周囲の女性陣の目には、まさしく白馬に乗った王子様のように見えているんだろう。
そして、こういうとき、王子様と一緒にいる女はどんな女だろうと決まって邪魔者扱いなのだ…。
さっきから、天くんを見た後に私を見る視線の温度差を痛いほど感じていた。
仕方ないだろ、デートに誘われたんだから!乗れって言われてんだから!私のせいじゃねぇからな!
内心で反論しながら、渋々天くんの後ろに乗った。
メリーゴーランドが動き出す。
「出発〜!」
「あ〜恥ずかしい〜来年三十路なのに〜…」
笑いながらはしゃぐ天くんの背中に隠れるように顔を埋めて呟いた。
もう知らん…回り終わるまでこうしてよう…。
「楽しいね!直さん!」
天くんが振り向いて笑う。
周りから見たら、私達はカップルに見えるんだろうか。
一人で白馬に乗るよりはだいぶマシだけど、バカップルだと思われるのも恥ずかしいよな…。
けど、もういいや。
天くんと一緒なら。
「そうだな、天くん」
私も笑って、頷いた。
ティーカップに乗って、ハンドルを二人で思いっきり回して、カップがぐるぐる高速で回転するのを、げらげら笑いながら楽しんだ。
降りるときには二人とも目が回っていて、転びそうになって、それがまた可笑しくて顔を見合わせて笑った。
「直さ〜ん、次はあれ乗りましょう」
呼ばれて振り向くと、メリーゴーランドを背に立っている天くん。
なんか、これは、絶叫マシンとはまた別の意味でマジかよって感じだな…。
メリーゴーランドって…。
いい年した大人がメリーゴーランドって…。
内心戸惑いながらも、うきうきしながらメリーゴーランドへ向かう天くんの後を追う。
周囲を見渡す限り、小さな子供を連れた家族や、学生の女の子達ばかりだった。
うわぁ…これは、きっついな…。
学生時代なら抵抗なく乗れたんだけど、なにせ来年三十路だからな…。
恥ずかしい…。
周りが見たら、痛いやつ、とか思われそう…。
「直さん直さん!こっち!僕の後ろに乗って!」
天くんの声に振り向くと、白馬に乗って、手招きしている。
白馬…!
馬なら他にもたくさんいるのに、白馬…!
なんとなく馬車よりも馬を選びそうな雰囲気はしてたけど、よりによって白馬か…!
ふと、周囲の女の子達や若いお母さん達が天くんを見て色めき立っていることに気付いた。
頬を染めて、ちらちら見たり、あの人かっこよくない?なんて声があちこちから聞こえてくる。
そりゃそうだ。
天くんは口を開くとエキセントリックなやつだが、ルックスはいいもんな。
ふわっとした飴色の髪に、小さな顔。
アーモンド型の目と、それを縁取る濃い睫毛。
鼻は高いし、唇は血色が良くてふっくらしている。
黙っていてもイケメンだが、笑うとふにゃっとしてかわいい。
周囲の女性陣の目には、まさしく白馬に乗った王子様のように見えているんだろう。
そして、こういうとき、王子様と一緒にいる女はどんな女だろうと決まって邪魔者扱いなのだ…。
さっきから、天くんを見た後に私を見る視線の温度差を痛いほど感じていた。
仕方ないだろ、デートに誘われたんだから!乗れって言われてんだから!私のせいじゃねぇからな!
内心で反論しながら、渋々天くんの後ろに乗った。
メリーゴーランドが動き出す。
「出発〜!」
「あ〜恥ずかしい〜来年三十路なのに〜…」
笑いながらはしゃぐ天くんの背中に隠れるように顔を埋めて呟いた。
もう知らん…回り終わるまでこうしてよう…。
「楽しいね!直さん!」
天くんが振り向いて笑う。
周りから見たら、私達はカップルに見えるんだろうか。
一人で白馬に乗るよりはだいぶマシだけど、バカップルだと思われるのも恥ずかしいよな…。
けど、もういいや。
天くんと一緒なら。
「そうだな、天くん」
私も笑って、頷いた。