直さんと天くん
04
夜のコンビニに駆け込んで来た天くんが、開口一番にこう言った。
「直さん直さん、僕とデートしてください!」
カウンターの前に立って、私に橙色のスプレー菊を差し出す。
デートという言葉にも驚いたが、菊の花にも驚いた。
プレゼントに菊って、どうなん…。
お葬式や墓前のお供えのイメージしか持っていなかっただけに、正直面食らった。
差し出された橙色の菊の花をひとまず受け取って、まじまじと眺める。
ポンポン菊と呼ばれる種類のもので、花弁が幾重にも重なっている丸みのあるシルエットが可愛らしい。
そういえば、菊の花にもいろんな種類があるんだよな…。
別に、葬式や墓前に供えるだけの花と決まってるわけじゃない。
こんなかわいいのもあるんだ…。
天くんはいとも簡単に、思い込みや先入観を壊す。
考えてみたら私、天くんに出会ってから初めてのことばっかりだな。
男の子から花をもらうのも、おんぶしてもらったのも、面と向かって好きだと言われるのも、こんな風にデートに誘われるのも。
29年の人生で初めてのことが、この数週間の間に立て続けに起きている。
それに、先日のばあちゃんの家で起きた心霊体験を思い出す。
私は天くんに借りがあるのだ。
「おっしゃ、受けて立つ」
「わ〜い、やった〜!じゃあ明日!明日デートしましょう!」
「また随分急だな…まぁ、丁度バイト休みだから、いいけどさ。それで、どこに行くんだい」
天くんは、へらっ、と笑った。
「僕、直さんと一緒に行きたいところがあるんです」
「直さん直さん、僕とデートしてください!」
カウンターの前に立って、私に橙色のスプレー菊を差し出す。
デートという言葉にも驚いたが、菊の花にも驚いた。
プレゼントに菊って、どうなん…。
お葬式や墓前のお供えのイメージしか持っていなかっただけに、正直面食らった。
差し出された橙色の菊の花をひとまず受け取って、まじまじと眺める。
ポンポン菊と呼ばれる種類のもので、花弁が幾重にも重なっている丸みのあるシルエットが可愛らしい。
そういえば、菊の花にもいろんな種類があるんだよな…。
別に、葬式や墓前に供えるだけの花と決まってるわけじゃない。
こんなかわいいのもあるんだ…。
天くんはいとも簡単に、思い込みや先入観を壊す。
考えてみたら私、天くんに出会ってから初めてのことばっかりだな。
男の子から花をもらうのも、おんぶしてもらったのも、面と向かって好きだと言われるのも、こんな風にデートに誘われるのも。
29年の人生で初めてのことが、この数週間の間に立て続けに起きている。
それに、先日のばあちゃんの家で起きた心霊体験を思い出す。
私は天くんに借りがあるのだ。
「おっしゃ、受けて立つ」
「わ〜い、やった〜!じゃあ明日!明日デートしましょう!」
「また随分急だな…まぁ、丁度バイト休みだから、いいけどさ。それで、どこに行くんだい」
天くんは、へらっ、と笑った。
「僕、直さんと一緒に行きたいところがあるんです」