仮面をかぶった王子


ホームルームと一時間目が終わって、小草はクラス全員分のノートをもう一人の学級委員、加原君と一緒に運びに行った。

特にやることもないので、ぼおっと頬杖をついていると、「樋口ー」と声が聞こえた。

見ると、先生が手招きしている。私は、小さく息を付き、廊下の方にいる先生の方へと向かった。

「先生、どうしました?」

「あーー、えと、いつもみんなをまとめてくれてありがとうな。これからもよろしく頼む」

「あ……いえ。これからもがんばります」

自分でもよく分からないことを言っていた。って、私がいつもみんなをまとめているのは、先生がちゃんとしないからですよ、とはもちろん口が裂けても言えなかった。しかも、これからも頼むってどういうことよ……。


「やっぱり、樋口は頼りがいがある」

そう言って先生は満足そうにうなずいた。
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