仮面をかぶった王子

ああ、喧嘩が始まっちゃった。


ああ、と思った途端、先生からチラッと視線を送られた。

……はあ。



「みんな、一旦落ち着こ。ね?」


私は立ち上がって、みんなに笑いながら言った。それとともに、しいん、と静かになる。



「ほら、一応、小草が司会だし。司会の言うこと、ちゃんと聞こ?あと、劇かカフェか決めるっていうのは多数決だから、今やってることは多数決に関係ないよね?」


私の声にみんな、気まずそうに視線をそらす。


「んー、ごめん、那望。そうだね、うん。多数決、やろっか」


平崎さんの声に、「そうだなー」「悪い那望」とまた声が上がった。


私は、小さく微笑んで言った。

「静かになったね。じゃあ、司会、お願いします」


小草はありがとう、と口パクで私に言うと、小さく咳払いをしてから言った。


「それでは、カフェか劇のどちらがよいか、多数決で決めたいと思います。どちらかに手をあげてください」


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