ヤンデレくんとツンデレちゃん


 *


教室に着くと学祭の話で持ちきりだった。

というのも、うちのクラスは演劇に決まったのだが、今日のLHRで演目を決めることになっている。


「ロミジュリがいいなぁ」

「いいね、それ」


楽しそうに盛り上がっている。

そんな中、思うことはひとつ。


「梁ちゃんの、その、髪を耳にかけたときにチラリと見えるほくろがセクシーでたまらない」


……隣の席のやつがウザい。

ジロジロ見るな。


「ロミオは絶対めぐむくんだよねー」

「めぐむくんなら、どんな役もなりきれそうだし様になるよね」

「うちの劇が1番じゃない?」


演劇をするのは、各学年から2クラスずつになっていて。

その中で最もクオリティの高かった『最優秀賞』を勝ち取ったクラスにはなにやらご褒美があるらしいとの噂だ。


「ねぇねぇ、めぐむくん」


女子2人が、愛の席にやってくる。


「主演してくれる? めぐむくんしかいないと思うなぁ」

「もちろん」


……忙しいのに、気前いいなぁ。
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