ヤンデレくんとツンデレちゃん
「それじゃあジュリエットして」

「無理」

「どうして」

「……昔、失敗したから」

「失敗?」

「うん」


この話を誰かにしたことはない。

するつもりも……なかった。


なのに話してしまってる。


「劇に出たの?」

「やらされたの。推薦で」

「梁ちゃん可愛いからなぁ」

「嫌がらせだった」

「!」


クラスの女子から押し付けられた。


「選ばれたからにはやれるだけのことはやった。でも、できなかった。……あたしのせいで、みんなに迷惑かけた」

「そっか。それで嫌だったんだ?」

「うん」

「ごめんね。事情も知らずにひとりで盛り上がって」

「ほんと最低。あたし、二度とあんな思いは……」

「でも、もう大丈夫」


――!!


「なにがよ……」

「今度はボクも一緒だから。一緒に克服しよ?」

「……無理だよ」

「乗り越えよう! 愛のチカラで!」

「なんかそれやだなぁ」


いきなり声はりあげるのやめて?


「照れちゃって。梁ちゃんったら」

「普通に嫌なんだけど」
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