ヤンデレくんとツンデレちゃん


――花澤未兎。


「髪は……? 長くてふわっふわの、」

「ウィッグ。体育で愛にかなわなかったの、あれ落ちそうだったからなんだよね。なけりゃ勝てたのに」

「でも、だって、制服……」

「女の子の制服着ちゃいけないなんて校則にあるの?」

「あるよ、多分」

「ふぅん。そう。まあ先生が見てみぬふりしてるから問題なくない?」


呑み込めないんだけど。

つまり、花澤さんは

未兎ちゃんじゃなくて未兎くんだったの!?


「女の格好してた方が女子から言い寄られなくていいかなと思ったんだけど。僕、どっちでもモテるみたい。『なんの化粧水使ってるの? キメ細かーい!』だってさ。めんどくさ。そんなの使ってないし。低能と会話すると削れる」


――!?


可愛い顔してめちゃくちゃ毒舌だ。


「愚痴ならあとで聞いてあげるからさぁ。はやくでていってくれない?」


不機嫌になる愛。


そうか。

男の子だから、多少冷たくなるんだ?


愛は女の子には紳士だもん。


「稽古は?」

「行かない」

「そいつといるから?」

「……ここに誰も通すなってあれほど言ったのに。クビにしようかな」

ボソっと怖いこというのやめて、愛。
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