ヤンデレくんとツンデレちゃん
「……そんなんじゃないよ」
「わかってる。ありがとうね、梁ちゃん」
「え?」
「未兎に優しくしてくれて」
「……!」
「あのね、梁ちゃん。未兎は華道の家元なんだ。ボクもそこに稽古に行ったりしてる」
和服とか着るのかな。ちょっと見てみたい。
「未兎、昔、学校でクラスメイトから……からかわれてて。女みたいだとか、花が好きなことを面白おかしくいうやつに目をつけられてさ」
「酷い……」
「人間不信みたいなとこあるんだ。全員じゃないけど、付き合いの浅い人間はまず毛嫌いする。もっとも、社交的に育てられてきてるから建前では仲良くできるけど、心開かない」
「…………」
「未兎とボクはクラスは違えど親同士の付き合いがあって、未兎にとってボクが一番近い存在だった。高校が離れたからって追ってくるなんて思わなかったし女の子に化けるとはもっと思わなかった」
「そうだったんだ」
「仲良くしてあげてね、未兎と」
「もちろん」
愛の大切な人だから。
それに、悪い子には見えなかったし。
「……でも、ならないで」
――え?
「友達以上に、ならないで。男として見ないで」