ヤンデレくんとツンデレちゃん
――翌朝、教室で。
未兎くんは女の子に囲まれていた。
女子に扮するのをやめる気はないらしい。
そのうちバレそうだけど、バレない可能性もなきにしもあらず。
いつまで続けるんだろうか。
「顔ちいさいよねー」
「私服はどんなの着てるの?」
仮に男の姿に戻ったらモテモテになるのが見えている。
まずオーラがすごい。
カリスマ性とでもいおうか。
どんな格好をしていても女の子が離してくれないのは未兎くんの宿命なのかもしれない。
「なんで先生ノーツッコミなのかな」
「なにが? あ、わかった。ボクと梁ちゃんのラブラブっぷり?」
「違うし。未兎くんの制服だよ」
「……どうせ金でものを言わせたんでしょ」
「ええっ」
先生のこと買収済みなの!?
「それより衣装なんだけどさぁ。ジュリエットの。来週には出来上がるってさ」
「はやいね。オーダーメイドなのに」
「急いでもらってるもん」
「学祭のクオリティではないなにかが完成する気しかしないよ」