ヤンデレくんとツンデレちゃん
「あたしもカッコよく変身してみたい。無理だけど」


男装とか、宝塚歌劇団の男役みたいな格好がしてみたい。


「……いけなくもないんじゃない?」

「ほんと?」

「梁、綺麗な顔してるから」

「……!?」


未兎が、あたしを、褒めた……!!


「理解されないかもしれないけど。僕は別に女の子になりたいわけじゃないのに、こういう格好がしたくなるんだ。物心ついたときから女物の着物を綺麗だなって目で追ったりしててさ」


そういえば華道の家元って言ってたよね。


「だけどそれをずっと隠してきた。興味ないフリしてきた。だから今、曝け出せて楽しい。すごく開放的な気分」

「いいね」

「……そう?」

「女子トイレ使うのはどうかと思うけどね」

「バレなきゃいいよそんなの」


よくないと思います。


「僕、帰るね」

「え? いればいいのに」

「いつまでもいられないでしょ」

「なんで? そんなことないよ」

「…………」

「狭いし汚いかもだけど。いてくれていいよ」
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