ヤンデレくんとツンデレちゃん

「ってか、思い切りあたってたよね」

「なにが」

「……唇」


キスするなってあれ程言ったのに。


「んー、でも客席から見えない角度でしたし。問題ないよね」


そんなこと計算してたんだ……?


「でも、おばあちゃん見てたのに。ビックリしなかったかな」

「大事なお孫さんの唇を奪ったからには、一生幸せにしますと近々ご挨拶に伺わなきゃ。なに持っていこう。箪笥?」

「こなくていいし。タンスはあたしが持ってくアイテムでしょ」

「あああ梁ちゃんが? 箪笥持って? ボクのとこに……? それすなわち、生きる希望なり!!」

「残念すぎるロミオだな」


ぐうう、とお腹がなった。

緊張で朝からなにも食べていなかったことを思い出す。


そろそろお昼どきだ。


「お腹すいてるのー?」

「……うん」

「なにか食べる? 校庭の方には色々と模擬店もあるみたいだよ」


廊下を歩けば四方に張り出されているチラシを眺めながらそんなことをいう愛。


「それならやっぱり着替えた方がいいって」

「なんで?」

「汚しちゃ大変でしょ」


こんな高そうなオーダーメイド衣装。
< 204 / 296 >

この作品をシェア

pagetop