ヤンデレくんとツンデレちゃん


愛が、御影くんを離す。


「好きすぎて。梁ちゃんのことが」

「……バカ。落ち着け」

「梁ちゃん。抱きしめて」

「はぁ? なんでこんなとこで、」

「御影にはされてたじゃん」

「……っ、ちょっとだけだよ?」


愛にそっと抱きつくと、力強く抱きしめ返された。


「痛いよ、愛」

「ボクのだから」


――!!


「梁ちゃん、ボクのだから。狙わないで」

「…………」

「君がライバルっていうなら容赦しないよ」

「板野さぁ。おっかない彼氏持ったね?」


御影くんが胸元のネクタイの歪みを直しながらつぶやく。


「愛は、優しいよ」

「……お前にはね」

「?」

「殺されるかと思った」


そんなこといって、また笑う御影くん。


「そんなに惚れてたんだ?」

「……うん」


愛が必要としてくれてる以上に

あたしが、愛を必要としてるって思える。


「だったら幸せになれよ。そのヤンデレ男と」

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