ヤンデレくんとツンデレちゃん
このくらい楽勝だ。
ひとりで全部できる……
って、思ってたのに。
「梁ちゃーん。終わった?」
「黙ってろ」
放課後の教室で、
プリントとにらめっこするあたし。
こんなのいつ習った?
ほんとに解ける問題!?
「わかんないとこあるならボクが教えてあげるって」
「あんたの力なんて借りない」
報酬になに奪われるかわかったもんじゃない。
借りなんて作ってたまるか。
「帰りなよ」
「……ひとりで頑張ろうとしてる梁ちゃん、可愛い」
「誰のせいでこんな……」
「計画的にやっておかない梁ちゃんのせいでしょ?」
正論すぎて反論できない。
まさかコイツに諭される日がくるなんて。
ああ、帰りたい。
「せっかく眼鏡くんが見せてくれるって言ったのになぁ……」
「あの男の世話になりたかった?」
――え?
「ボクじゃなくて。あの男に頼りたかった?」
プリントからアイツに視線を向けると、真面目な顔してアイツがあたしを見つめていた。
「……そういう意味じゃ……」
「だったらボクのこと、もっと頼ってよ」