ヤンデレくんとツンデレちゃん


軟禁なんて聞いて怖い想像をしてしまったが、ここは極楽浄土かなにかですか。


お風呂からあがると、今度は千穂に鏡とクローゼットと椅子のある部屋に通された。


髪をドライヤーでかわかされ、あっという間にセットされ(まとめてアップにされた)。


それから今度はなにかポーチのようなものを取り出したと思ったら「目を閉じて」と指示される。


「ジュリエットのときとはまた違う雰囲気にしようかな」

「メイク……するの?」

「うん」


とんとんと肌の上になにかあたる感覚。

更にはブラシのようなものでふわっとなにかを塗られてくすぐったい。


学祭の劇のときも、あたしのヘアメイクは千穂が担当してくれたっけ。


そのときに千穂が持っていたメイクポーチと同じだ。


あのときは、てっきり劇用に用意されたものだと思っていた。だって千穂はメイクしてないから。


でもそれって、千穂の私物だったんだ……?


メイクが終わると今度は着付けが始まる。


用意されていたのは、素敵な浴衣。


「すごい手際いいね」

「着付けは子供の頃に習ったからね」

「帯も結べるんだね。器用だなぁ……」


って、なぜ、浴衣を着せられてるの?

< 261 / 296 >

この作品をシェア

pagetop