ヤンデレくんとツンデレちゃん



突然扉が開けられたと思ったら、飛び込んできたのは、愛だった。


わあっ……黒い浴衣、着てる。

すごく似合ってる。


髪も、オールバックだ。

カッコイイ……。


って、ちょっと、


「近い近い……」


押し倒しそうな勢いで抱きついてきた、愛。


「梁ちゃん」

「ああ、もう、せっかく着せてもらった浴衣が……」

「ねえ。脱がしていい?」

「着たばかりの浴衣脱がすバカがどこにいるの」

「ここに」

「離れろ……!」

「間違えた、梁ちゃん。まだ脱いじゃだめ。脱ぐのはもうちょっと浴衣姿の梁ちゃん観察してから。あ、写真も撮らなきゃ。とりあえず100枚」

「撮りすぎ。脱がす前提なのやめて?」


クスッと笑うと、千穂がこう囁いた。


「やっと元気が戻りましたね? 愛様」
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