ヤンデレくんとツンデレちゃん
とぼけてるように見えて、計算してる。
……あたしの反応みたさにバカなフリしてる。
それを、あの夜、思い知らされた。
病んでるくらい重いし、ぶっとんだ考え方をするのはもちろんマジなのだろう。
だけど愛には、隠している顔がある。
「そういうことは、あとで、じっくり時間をかけて愉しめばいいか」
「っ」
とってもイジワルで
だけどうっとりするような
大人っぽさのある。
けっして2人きりのときにしか見せない
「ね、梁ちゃん?」
『男』って感じの、顔だ。
「どーぞ、梁ちゃん」
車の後部座席に乗り込むと、反対に回り込んで隣に乗り込んだ愛が、手を繋いできた。
「梁ちゃんあったかーい」
「っ、離せ」
「ほら、恋人つなぎ」
「え?」
「知らないの? 指を絡ませると恋人つなぎ」
「……あっそ」
さっきから心臓がドクンドクンと大きな音をたててなりっぱなしだ。
「ほんというとね。玉城の目を盗んで電話かけたり、会いに行くこともしようと思えばできた」
「……!」
「だけど梁ちゃん、いつかボクに言ったよね。『恋愛一色の人は苦手だ』って」
「そんなこと言ったかな」
「言ったよ。だから、甘えるのやめたんだ。玉城に監視されてるフリを続けた。いい子にしてた」
そうなんだ。
……なのに。
あたしの方が待ててなかったなんて。
不安になったり、会いたくなっていたなんて。
「それで玉城、油断したのかもね。その隙を、千穂がついて。未兎に連絡を入れてボクに梁ちゃんを会わせてくれたってわけ。千穂はクビ覚悟で。ボクのお願い叶えようとした」