ヤンデレくんとツンデレちゃん
なになに。

なんで今日、そんなに紳士なの?


嵐の前の静けさってやつ……?


あたし帰り道でコイツに襲われる?


「また明日、梁ちゃん」

「……うん」


拍子抜けだ。

変なこと、言われなかった。

なんにも、されなかった。


……いや、別に願ってたわけじゃないよ!?

ただアイツが普通というか紳士すぎて

優しいだけのアイツなんて


レアというか……


――ただの、イケメンじゃん。


いつもアイツは、あたしがエントランスに入るまであたしを見送る。

けっしてすぐには遠ざからない。


振り返るとやっぱりこっちを見て微笑んでいる。
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