ヤンデレくんとツンデレちゃん


腕に、ピンクや黄色、それからブルーに光る蛍光色の腕輪をはめられる。


愛が見つけて買ってくれたものだ。


「綺麗だね?」

「うん」

「みてみて。お揃い」


あたしとまったく同じものを自分の手首につけた愛が、ドヤ顔で見せつけてくる。子供か。


……今夜だけだよね。

きっと朝になれば光らなくなってるだろう。

そう思うと、ちょっと寂しい。


「これ、どうして光るんだろ」


電池とか入ってないのに。


「手首につけるとき、棒状のを折って丸くしたよね」

「うん」

「バキバキって音したでしょ?」

「……したけど」

「中のガラスが砕けて液体が混ざりあったんだよ。化学反応起こさせて発光する仕組みになってるんだろうね」

「へぇ。科学って魔法みたいなことできるんだね」

「花火だってそうじゃん」

「え?」

「花火の色は炎色反応を利用したものでしょ」

「……あんまり深く考えたことなかった」

「ストロンチウム、セシウム、ナトリウム……燃やすもので色が違ってくるんだ」

「あんたやっぱり頭よかったんだね」

「炎色反応は習ったよー。1学期に」

「……記憶にございません」

「ロマンチックだよね。花火デートも」

「んー。見てみたいけど、人混みとか苦手だしなぁ」


花火大会って歩くだけで疲れそう。
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